「管理する目的」から逆算する! 社員が働きやすくなるテレワーク環境を求めて

コロナウイルスの影響で、今後もテレワークを推奨していく企業が増えて行く見込みです。一方で、「やってみたもののうまく行かない」「どこから着手していいかわからない」という声も多く聞きます。成功するテレワークのポイントは何なのか。2016年からテレワークを積極導入し、コロナウイルスによる自粛期間中は事務メンバーも含めて完全テレワークに踏み切ったジョイゾーの取り組みを、株式会社INDUSTRIAL-X 代表取締役の八子知礼氏がインタビューしました。(インタビュー日:5月22日)

こちらのブログには動画コンテンツが存在します。
是非動画コンテンツも合わせてご覧ください。
前編:https://youtu.be/A5BLSApieus
後編:https://youtu.be/UE195gXyU8M

INDUSTRIAL-X 八子知礼(以下 八子):
さて、今日は5月22日。東京は非常事態宣言の発令中で、この取材もオンラインで行っています。
ジョイゾーは以前からテレワークを推奨してきましたが、今はどのような勤務体系にしているのでしょうか?

ジョイゾー 四宮 靖隆(以下 四宮):
事務や総務含めて全社テレワークにしました。事務所に熱帯魚がいるので経営陣だけ3日に1回くらい餌をやりに来ましたが(笑)、あとはほぼ在宅です。

八子:
バックヤードも含めてですか。それはテレワークに慣れた御社にとって通常通りなのでしょうか?

四宮:
いや、だいぶ変わりました。というのも、以前から新潟や札幌で在宅勤務する社員がいたのでテレワーク自体には慣れていたのですが、事務や総務全員がテレワークというのは今回が初めてです。

八子:
そうなんですね。私は昨年起業して初年度は1人でしたが、4月から人を増やすタイミングだったんです。その矢先に自粛要請が発令されたわけですが、いざテレワークに着手しようとすると案外ツールも知らないし、運用方法もわからない。まずは、日常のコミュニケーションについて教えていただけますか?

四宮:
当社はkintone導入支援の会社なので、業務に関することはkintoneを活用しています。たとえば開発案件の進捗状況や問い合わせ管理の他、業務上必要なデータはすべて入っています。その他のコミュニケーションはLINE WORKSを活用しています。

ジョイゾー 四宮 琴絵(以下 琴絵):
LINE WORKSはスタンプなども充実していて気楽に使えるのが特徴です。
トークルームも分けられるので、トピックに合わせてあちこちで会話が飛び交っています。それ以外に、全員でコミュニケーションを取る時間として「雑談の時間」を作っています。

八子:
……雑談ですか?

●始業前のお茶汲み時間の感覚で「雑談タイム」を運用

琴絵:
まずは全社員が始業前に一日の挨拶とその日の仕事内容をテキストベースで共有することになっています。その後9時半から10時までの30分間、zoom上に「雑談ルーム」を設けているんです。「雑談」なので、仕事の話でもプライベートの話でも、内容は何でもOKです。気分的には、始業前にお茶でも入れながら給湯室で雑談している、そんな雰囲気ですね。

琴絵:
ルールというほどカッチリしたものではなく手順書みたいなものですが、途中で決めましたね。雑談って自然に生まれるもので、いきなり「雑談していいよ」と言われても困るじゃないですか。なので、「オープンルームだけ作る」「時間中はいつでも開いてる」「毎日入っても入らなくても良い」という場所を作ろうということにしました。

四宮:
在宅ってオンオフが難しいじゃないですか。なので、始業前の切り替えの場として「雑談タイム」を活用しています。実際、リアルでもそうですよね。9時に来ていきなり席についてすぐ仕事するかというとそうじゃない。茶飲みタイムみたいなものを設けることで、オンオフを切り替えているんです。

●拘束するためのルールではなく、楽しく働くためのルール作り

八子:
全員が在宅で、勤怠管理はどのようにしているんですか?

四宮:
freeeと、あとはkintoneとスマフォのボタンを組み合わせたものを使っています。勤務時間が給与にも関係するので出退勤のタイミングでfreeeのボタンを押してもらいます。
あとは、SORACOMエンタープライズのボタンを使って、押すと誰がどこで仕事しているかがkintone上の地図に表示されるようにしています。
地方で働く社員が出張に行ったり東京オフィスに来たりすることもあるので、「いま誰が働いていてどこにいるか」を把握したかったんです。これはガチガチに行動を見張る類のものではなく、「ちょっとこの件で相談したいな」と思ったときに相手が在席しているかどうかを知るためのものです。

IoTボタンから取得した位置情報をkintoneへ(地図上にプロットする)

八子:
みなさん、ちゃんと使ってくれますか? 勤務中に出かけているのがバレそうで怖かったりしないんですか?(笑)

琴絵:
たとえば「子どものお迎えに行く」とか「親を病院に連れて行く」とか、うちは以前から自由なんですよ。前提として、日常生活にそういう予定が入るのは当たり前のことだと思っているので気にしていないんです。むしろ個人の予定も積極的に会社のスケジューラーに登録してもらっています。
それによって各メンバーの空き時間がわかるので、打ち合わせの予定を事務のメンバーが自由に入れることができます。

四宮:
そんな運用で大丈夫かと心配する方もいるかもしれませんが、「みんな大人なので、やることはしっかりやるよね?」という信頼関係があります。「自分のタスクはしっかりやってくれるから、あとは時間に縛られずに自由に過ごしていいよ」という考え方ですね。そういう企業文化があるから成り立っているのかもしれません。

八子:
非常に自律的・自発的な企業文化なんですね。でも、企業文化を社員に浸透させるってなかなか難しいと思います。お二人がこんこんと社員に話したりしたんですか?

四宮:
月に1回全社会議があるので、そこで定期的に伝えるようにはしていますね。そもそもの前提として、うちは「自分たちが働くジョイゾーをみんなで作っていく」という意識が強いんだと思います。それは、会社に関する情報は全て社員さんに開示しているというのが大きいかもしれません。「いま会社に現金がいくらあるのか」というレベルまで開示しています。

琴絵:
社員だけでなくパートさんも含めて、会社全体の売上とか利益とか、結構よく見ていますね。

四宮:
賞与も「海賊山分け方式」といって、利益が出たらそのうちの何%を社員で山分けすると決めているんです。
成果って誰のものって特定しにくいじゃないですか。エンジニアのおかげかも知れないし、最初に対応したメンバーの雰囲気が良かったのかもしれないし、他に理由があるのかもしれないし。だったらみんなで山分けしよう! としました。そうすると、自然と社員のモチベーションも高まるし、会社をより良くしようと一人ひとりが自律的・自発的になりますよね。

●ただの業務報告じゃない! 社員が書きたくなる「日報」とは?

八子:
素晴らしい企業文化ですね。とはいえ、御社も新卒社員や中途採用のメンバーがいたかと思います。必ずしも大人な振る舞いができる人ばかりではないと思うのですが、その点はいかがでしょう?

四宮:
うちの働き方に慣れていないどころか、テレワークにも慣れていないという人もいます。なので、ベタな取り組みですが「日報」を始めました。これで日々のコミュニケーションや企業文化の浸透が図れています。

八子:
日報ですか? どうも、「書いても誰も読んでないし、めんどくさいし、出す意味あるの?」と思ってしまうのですが。

琴絵:
最初は各社員のメンターだけがチェックしていたのですが、非常に学びが多いので誰でも読めてコメントが付けられるようにしたんです。そうしたらコミュニケーションが生まれるようになりました。
たとえば新入社員が「ここが出来なかったけど、誰々さんにこんなふうにフォローしてもらった」と書いたらその人がコメントしてくれたり、他の人が違うアドバイスをしたり、その様子を見て周りの人が「チームでうまく動けているな」と安心したり、チームワークが生まれるきっかけになっています。

学びや興味を持ったニュースを報告(画面左) 
コメント欄があることで学び合いの機会を確保(画面右)

八子:
すごい丁寧に書いていますね!

四宮:
書いたことに対してコメントが付くので、「もっと書きたい! もっと伝えたい!」となるんだと思います。これによってテレワークでも社員が孤独を感じることも減り、対面でコミュニケーションしているのと同じくらいの交流ができています。
日報ってベタですけど、やり方一つでこんなに社内が活性化されます。無理して新しいことに挑戦しなくてもいいんだな、と思いました。

琴絵:
うちはもともと「振り返りの時間」が長いのかもしれません。
たとえば案件MTGが終わったあとすぐにメンバーでzoomをつないで振り返りMTGをします。それ以外にも、中途社員の場合は1日の最後にメンターとの振り返りの時間を設けています。これが対面の職場であれば隣の席にいて気軽に話ができるわけですがそうではないので、積極的にコミュニケーションの時間や仕組みを設けています。振り返りの時間も事前に確保しています。
テレワークにすると隙間なく予定を入れてしまう人もいますが、それでは保ちません。社員を疲れさせすぎないようなスケジュール管理や気配りには気を遣っていますね。

●企業風土ありきでツールを探す

八子:
ここまでお話を伺っていると、ツールの導入も社内のルール作りも何の問題もなく出来ているようですが、失敗することはないんですか?

四宮:
トライアンドエラーも結構やっていますよ。とりあえずやってみてダメなら変える、というスタンスです。たとえば、「勤怠もちゃんとやらなきゃ!」と思ってブラウザ上で出勤管理と工数管理を入れてみたこともあるのですが、ずっとログインしっぱなしの人もいれば、ずっとしない人もいる。ダメだこれは、と思って、最初にお話したボタンに落ち着きました。

八子:
がんじがらめの管理ではなく、うまく行かないものはトライアンドエラーで回していくというのは大企業にはない魅力だと思うんですよね。その根底にあるのは社名の由来でもある「JOY=楽しむ」という気持ちなのでしょうか。

琴絵:
そうですね、ツールも「試しにやってみよう!」というノリでみんなで楽しみながら使い始める感じです。社員からの提案で導入することもあります。最近だと雑談用にSpatialChatを試してみたのですが、うちの風土に合っているということで好評です。

アイコンを移動させることができ、距離感の概念があるWebチャットツール(SpatialChat

四宮:
風土があった上で、それに合ったツールを導入しています。「このツール、何かに使えないかな?」というツール発の目線ではなく、「うちの文化的にこのルーツは使えそう」という感じでツールを選んでいます。

●「管理」は何のためにするのか、から考えよう

八子:
最後に、今後テレワークを導入したいという企業にメッセージをお願いします。

四宮:
リモートだからといって何でも管理しようと思わないことです。新しいことを始めるときは、「それってリモートじゃないときも管理していたか?」と一度考えてほしい。
たとえば、斜め向かいの人の仕事っぷりを1時間おきに管理していたか。リモートになった途端に管理しようとしていないか、などですね。大切なのは「管理をすること」ではありません。「その管理は何のために必要なのか?」を考えながらテレワークの制度や仕組みを整えるといいと思います。

琴絵:
従業員の目線で言うと、スルー力も大事だと思います。当社の場合は「雑談タイム」などがまさにそうですが、オンラインのコミュニケーションに対して「全部返事しなきゃ!」「すぐやらなきゃ!」となっていくと疲れますし、頑張りすぎると「なんで私は頑張っているのにあの人はやらないんだ」と思えてくることもあると思います。
もちろん、抜け漏れがあってはいけないので、必要な内容は必ずメンションをつけるなど運用ルールを工夫して、あとは自分の状況に合わせてスルーするチカラも大事ですね。

八子:
確かにテレワークであったとしても普段と変わらない働き方をどれだけ意識するかですね。離れているからと行って四六時中管理したり会話する必要もない。ツールもルールも、それぞれの企業のあり方に合わせて採用していくのが大事だとわかりました。
今日教えていただいたことを参考に、うちもテレワークを進めていこうと思います。ありがとうございました!

以下動画では、ブログで紹介しきれなかった社内の雰囲気や取り組みを実際のインタビューから聞くことができます。是非ご覧ください!

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