
ジョイゾーkintoneエンジニアのだいもんです。庭の野菜にお水をあげて、スーパーの買い出しに行って帰ってきました土曜日の昼下がり。
お昼ごはんのちょっと前ですかね。さっきまで動いていたClaudeの作業が止まってしまいました。お試ししていた「Fable5」が、突然使えなくなったんです。
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鳴り物入りでリリースされたばかりの最高峰AIモデル「Claude Fable 5」へのアクセスが、「米国の輸出制限(国家安全保障上の理由)」で停止されたということでした。
お試しのうちにあれもこれもやってみよう!がいいところまで行っていたんですけどね。残念。と、ちょっと思うところがあったので、書き留めておきます。
SNSでは「AIの歴史の転換点だ」「ついに国家がフロンティアモデルを止めた」といった声も上がり、さまざまな受け止めがあるようですね。
AIを開発や業務の前提として使っている身からすれば、他人事じゃないです。「今回は特殊なモデル(Fable 5)に対する制限だったから」で済む話なのかな、と考えてしまいます。
じゃあ、急にClaude自体が使えなくなったら?Cursorは?Codexは?GeminiやChatGPTは?
今回は、そんな「もしも」の危機感から、これからのAI時代をどう生き抜くべきか(大袈裟)を考えてみたいと思います。
あの「北海道の停電」で実感したこと

今回のニュースを見たとき、僕の頭にパッと浮かんだのは、過去に経験した「北海道の全域停電(ブラックアウト)」の記憶でした。
あの時、電気がバツンと切れた瞬間の、「あ、おれ、電気がないと役立たずだ。。」という、痛烈な無力感。
開発やPC作業を前提に仕事をしている人間にとって、灯りはロウソクで代用できても、インフラとしての電気の代わりはありませんでした。
今の僕たちにとって、AIはまさにあの時の「電気」や「水」と同じ、なくてはならないインフラになりつつあるなと感じています。
「ツールがないとコードが書けない」 「AIがいないと仕様書やプロンプトが作れない」
もしそんな状態のときに、大人の事情や国境の壁である日突然サービスが遮断されたら……。それはビジネスにおける「ブラックアウト」を意味するわけです。
最先端への挑戦と、将来的な「盲目的依存」の危うさ
もちろん、最先端の技術にいち早く触れ、その可能性を現場で検証することは、ビジネスの競争力を高める上で極めて価値のあるアプローチです。新しい可能性をいち早く見出す先行投資として、積極的に取り組むべき要素であることは間違いありません。
ただ、その挑戦の価値が大きいからこそ、一歩間違えたときの反動もデカいんですよね。
新しいモデルが見せる圧倒的に突出した性能は確かに魅力的です。しかし、もし将来的に、その性能が「明日も同じように、当たり前に使えること」を前提にしてすべての業務ラインを組んでしまったとしたら……。
それは未来の僕たちにとって、あまりにもハイリスクで危うい依存の仕方になってしまうはずです。高性能なモデルであればあるほど、それが突然消えたときのブラックアウトの衝撃は凄まじいものになります。
じゃあ、やっぱり最先端のAIなんて使わないほうがいいのか?というと、決してそういうわけじゃないんですよね。
大事なのは「依存しない設計」
「AIがある/ない」という論点は話がズレるので置いておきましょう。AIという技術そのものは消えないですからね。
向き合いたいのは、最先端のモデルの恩恵を最大限に受けつつも、「特定のサービスやモデルに依存しすぎて、それが使えなくなった瞬間に業務が完全停止する」という事態をあらかじめ回避しておく考え方です。
その視点で、インフラとしてのAIと付き合う上で、次の3つのポイントがめちゃくちゃ大事になるなと考えています。
1. 変化を吸収する「ハーネス設計(抽象化・アダプターの思想)」

普段から特定のAI一択という状態を作るのはリスクです。一つの系統が落ちても、別系統から引っ張ってこれるような「マルチAI」の思想が不可欠になります。
ここでカギになるのが、特定のAIに「専用」の作りにしてしまわない(抽象化)という考え方です。特定のAIとシステムや業務プロセスをベッタリくっつけてしまうと、それが使えなくなった途端に全部止まってしまいます。
イメージとしては、コンセントの「変換プラグ」のようなクッション(アダプター)をあらかじめ間に挟んでおくのです。どの国(どのAIモデル)のプラグでも、その変換プラグさえ通せば、家の中の家電(業務プロセス)はそのまま動く。そんな「受け皿」を作っておくイメージです。
そうすれば、中身のAIモデルが急に使えなくなっても、「変換プラグ(受け皿)」はそのままで、裏側の接続先を別のAIにサクッと差し替えるだけで、業務を止めることなく走り続けられます。この「いつでも抜き差しできるしなやかな構造」を仕込んでおくことが、最大の防御になるはずです。
2. 共通化できる資産としての「ナレッジの蓄積」

個人のツールの履歴や、特定のAIチャットの中にしか残っていない「プロンプト」や「開発手順」は、突然のアクセス制限やサービス停止が起きると、いざという時に引き出せなくなってしまいます。
ローカルにあるファイル自体は無事だとしても、クラウド側の履歴が止まれば「AIとどう対話してその成果物に辿り着いたか」というプロセス(文脈)を後から追いかけるのは困難になります。
だからこそ、上手くいったAIへの指示の出し方や開発プロセスは、個人のツール内やクラウドの履歴に依存せず、kintoneや社内Wikiなどに「人間の言葉(ナレッジ)」としてストックし、組織の共通資産にしていくことが重要です。これがあれば、明日AIツールやモデルの引っ越しを迫られても、新しい環境ですぐに同じクオリティを再現できます。
3. ツールが変わっても生き残る「個人のスキル」

大事なのは「特定のツールの使い方が上手いこと」ではありません。「AIに対してどう指示を出せば、自分の意図通りのシステムや業務改善ができるか」という思考の型(ロジック)ですよね。
ツールが変わっても通用する「AIへの命令力・対話力・速度、そして業務をハックする視点」という普遍的なスキルを磨いておくことです。
これって、まさに僕たちジョイゾーが「システム39」を通じてずっと大切にしてきた、「スキル39」でこれから培っていきたい、現場の課題をその場でハックしていく力の本質そのものなんですよね。この泥臭くもしなやかなスキルさえあれば、道具が何に変わろうと、僕たちは価値を生み出し続けられます。
まとめ:道具が変わっても、僕たちの「知恵」はブレない
最先端のAIが国境の壁に阻まれるようなリスクが、現実味を帯びてきました。これからも、どんな事情でツールが使えなくなるかなんて予測できません。
でも、あの停電の夜にロウソクを灯したように、一つのAIサービスが消えても、自分の中に「変化を吸収するハーネス設計」と「ツールの変化に負けない知恵」があれば、別のAIを灯して進み続けることができます。
「あのツールがすごい」「このモデルが最強だ」と表面的な機能に一喜一憂し、安易に依存する未来を踏みとどまるためにも、ツールに振り回されない人間のナレッジと、しなやかな設計を大切にしていきたいですね。
今回のFable 5の一件は、僕にそんな大切な足腰の強さを再確認させてくれる、良いきっかけになった気がしています(まだお試しで良かった)。
皆さんの現場では、もし明日お気に入りのAIが使えなくなったら、どうしますか?
AIをフル活用した業務改善「スキル39」
AIとkintone開発をしたい。AIと業務改善をしたい。ジョイゾーではそんな企業様向けのサービスも始めました。人とAIがどうやってスキルを磨いていったらいいの?とお悩みであれば、お気軽にご相談ください。
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